「飲食店が出すべきプレスリリースの書き方完全ガイド|ネタの作り方から配信手順まで」

飲食店経営

飲食店が出すべきプレスリリースの書き方完全ガイド|ネタの作り方から配信手順まで

「プレスリリースって大企業が出すものでしょ?」

そう思っている飲食店オーナーは多いのですが、実は個人店こそプレスリリースを活用すべきです。
広告費をかけずにメディアに取り上げてもらえる可能性があり、しかも「第三者が紹介してくれた」という信頼感がつきます。

この記事では、飲食店がプレスリリースを出すときに必要な知識をすべてまとめました。
何をネタにすればいいのか、どう書けばいいのか、どこに配信すればいいのか。初めての方でも迷わず実践できるように、具体例付きで解説していきます。


1. 飲食店がプレスリリースを出すべき本当の理由

プレスリリースと聞くと「宣伝」のイメージがあるかもしれません。しかし、本来の目的はまったく違います。

プレスリリースは「宣伝」ではなく「情報提供」です。メディアに対して「こんなニュースがありますよ」と伝える手段であり、広告のように「買ってください」と訴えるものではありません。この違いを理解していないと、どれだけ配信しても掲載されることはありません。

では、なぜ小さな飲食店でもプレスリリースを出すべきなのでしょうか。

知名度が低くても掲載される仕組みがある
メディアは常に「読者が興味を持つネタ」を探しています。お店の規模ではなく、ネタの切り口次第で掲載が決まります。地方の個人店が全国ニュースに載ることも珍しくありません。

集客よりも「信用」を作る道具になる
プレスリリースが掲載されると「〇〇で紹介されました」という実績ができます。この実績はホームページやSNSで長く使えますし、新規のお客さまが来店を決める後押しになります。

SNSよりも強い「第三者の信頼性」がつく
自分で「美味しいです」と言っても信用されにくいですが、メディアが「このお店が面白い」と紹介すれば説得力が増します。これが第三者掲載の強みです。

読者がつまずくポイント
「うちみたいな小さい店が出して意味あるの?」という疑問を持つ方が多いのですが、実際に個人経営の居酒屋が地元テレビに取り上げられたり、カフェがウェブメディアに掲載されたりするケースは数多くあります。重要なのは店の規模ではなく「ネタの切り口」です。次の章で詳しく解説します。


2. 99%の飲食店が間違えるプレスリリースのネタ選び

プレスリリースで最も重要なのがネタ選びです。ここを間違えると、どれだけ丁寧に書いても掲載されません。

まず知っておいてほしいのは、「新メニュー出ました」はニュースにならないということです。

メディアの立場で考えてみてください。毎日何百件ものプレスリリースが届く中で、「当店で新しいパスタが始まりました」という情報に価値はあるでしょうか。
読者が「へえ、面白い」と思わない情報は、ニュースとして成立しません。

ニュースになるネタには3つの条件があります。

社会性
社会問題や地域課題と結びついているか。フードロス削減、地産地消、高齢化対応など、社会的なテーマと紐づいていると掲載されやすくなります。

話題性
今このタイミングで報じる意味があるか。季節のイベント、時事ネタ、トレンドとの関連性があると、メディアも取り上げやすくなります。

ストーリー性
背景にドラマがあるか。なぜそのメニューを作ったのか、どんな想いがあるのか。人の心を動かす物語があると、記事として魅力的になります。

具体的なネタ例を紹介します

① 地元食材の廃棄問題と連動した新メニュー 「規格外で廃棄されていた地元野菜を活用したランチを開始」

② 高齢者向けに噛みやすく改良した定食 「咀嚼力が低下した方でも楽しめる、やわらか和定食を開発」

③ 子ども食堂との取り組み 「月に一度、売上の一部を子ども食堂に寄付する取り組みを開始」

読者がつまずくポイント 「何がニュースになるか分からない」という方は、以下のチェックリストを使ってみてください。

① その情報は「社会の誰か」の役に立つ内容か
② 今このタイミングで発信する理由があるか
③ 背景に語れるストーリーがあるか
④ 読んだ人が「へえ」「面白い」と感じるか

4つのうち2つ以上当てはまれば、プレスリリースのネタになる可能性があります。


3. 飲食店プレスリリースの正しい構成テンプレ

プレスリリースには決まった構成があります。この型を守ることで、メディアの担当者が読みやすくなり、掲載率が上がります。

構成は以下の順番で書いてください。

タイトル
リード文(最初の要約)
本文
店舗情報
問い合わせ先

それぞれの書き方を解説します。

① タイトルの書き方

タイトルはプレスリリースの命です。ここで興味を持ってもらえなければ、本文は読まれません。

悪い例:「春メニュー開始のお知らせ」 良い例:「地域の規格外野菜を活用したサステナブルランチ、4月1日より提供開始」

悪い例は単なるお知らせであり、ニュース性がありません。良い例は「規格外野菜」「サステナブル」という社会性ワードが入っており、メディアの目に留まりやすくなります。

② リード文の書き方

リード文は本文の要約です。タイトルの直後に置き、「誰が」「何を」「いつ」「なぜ」を簡潔にまとめます。

例文: 「〇〇県〇〇市の創作レストラン「△△」は、地域で廃棄されていた規格外野菜を活用した新ランチメニューを2024年4月1日より提供開始します。フードロス削減と地産地消を両立させた取り組みとして、地域農家との連携も進めています。」

③ 本文の書き方

本文では、リード文の内容を詳しく説明します。以下の要素を入れてください。

① 取り組みの背景(なぜ始めたのか) ② 具体的な内容(メニューの詳細、価格、提供期間など) ③ 今後の展望(この取り組みをどう広げていくか)

文章は短く区切り、一文一義を心がけてください。

④ 店舗情報

店名、所在地、営業時間、定休日、席数、アクセスなど、基本情報を漏れなく記載します。

⑤ 問い合わせ先

メディアからの取材に対応できる担当者名、電話番号、メールアドレスを記載します。


【具体例1】地域課題×新メニュー型

タイトル:
「年間200トン廃棄の”曲がりきゅうり”を救え|JAと連携した夏限定冷やし中華、道の駅併設食堂で提供開始」

リード文:
長野県〇〇市の道の駅「△△」内の食堂「□□亭」は、形状不良で出荷できず廃棄されていた地元産きゅうりを活用した「曲がりきゅうりの冷やし中華」を2024年6月1日より提供開始します。JA〇〇との連携により、規格外野菜の廃棄削減と農家の収入確保を目指す取り組みです。

本文のポイント:
① 背景として「年間200トン廃棄」という具体的な数字を入れる
② JAとの連携経緯(どうやって実現したか)を説明
③ 農家さんのコメントを入れる
④ 価格と提供期間を明記(1杯850円、6月〜8月限定)


【具体例2】社会貢献×定番メニュー型

タイトル:
「注文が入るたびに子ども食堂へ届く”つながるカレー”|創業40年の洋食店が毎月100食分の食材寄付を開始」

リード文:
東京都〇〇区で創業40年を迎える洋食店「△△」(代表:鈴木一郎)は、看板メニュー「特製ビーフカレー」の売上1杯につき50円を積み立て、毎月末に子ども食堂へ食材として届ける「つながるカレー」プロジェクトを2024年5月1日より開始します。

本文のポイント:
① なぜ始めたか(近隣に子ども食堂ができたことがきっかけ)
② 具体的な仕組み(1杯50円×月間2,000杯=月10万円相当の食材)
③ 届け先の子ども食堂の情報
④ お客さまの参加意識を高める工夫(店内に寄付カウンターを設置)


【具体例3】高齢化対応×サービス改善型

タイトル:
「”孫と同じものが食べたい”の声から生まれた|やわらかハンバーグ御膳、介護食の技術を応用し町の定食屋が開発」

リード文:
埼玉県〇〇町の定食屋「△△食堂」(代表:田中花子)は、咀嚼・嚥下機能が低下した高齢者でも家族と同じメニューを楽しめる「やわらかハンバーグ御膳」を2024年4月15日より提供開始します。介護食メーカーの技術指導を受け、見た目は通常のハンバーグと変わらないまま、舌でつぶせるやわらかさを実現しました。

本文のポイント:
① 開発のきっかけ(常連の高齢者から「孫と同じものが食べられなくなった」という声)
② 技術的な工夫(介護食メーカーとの協力、試作を重ねた経緯)
③ 見た目は普通・食感はやわらかいという両立
④ 高齢化率〇〇%の町という地域背景
⑤ 今後の展開(他メニューへの応用、レシピの公開検討)


3つの例に共通するポイント

① 単なる「新メニュー発売」ではなく、社会課題との接点がある
② 数字が入っている(200トン、100食、40年など)
③ 「なぜやるのか」というストーリーが明確
④ 誰かの声やきっかけが具体的に書かれている

この4点を意識するだけで、プレスリリースのニュース価値は大きく変わります。


4. 実際のプレスリリース例(飲食店バージョン)

ここでは、地方の個人レストランが規格外野菜を活用した新ランチを開始するという設定で、プレスリリースの全文例を紹介します。
そのまま参考にして、自店に合わせてアレンジしてください。


【タイトル】
廃棄予定だった地元野菜を救う「もったいないランチ」4月1日提供開始|〇〇県〇〇市の創作レストラン△△

【リード文】
〇〇県〇〇市の創作レストラン「△△」(代表:山田太郎)は、形が不揃いなどの理由で廃棄されていた地元農家の規格外野菜を活用した「もったいないランチ」を2024年4月1日より提供開始します。地域のフードロス削減に貢献しながら、お客さまには新鮮な地元野菜を手頃な価格で楽しんでいただける取り組みです。

【本文】
取り組みの背景 〇〇市では、年間約〇〇トンの野菜が規格外として廃棄されています。当店では以前から地元農家との取引がありましたが、「形が悪いだけで捨てられる野菜がある」という話を聞き、何かできないかと考えていました。

試行錯誤の末、規格外野菜を積極的に仕入れ、当店の調理技術で美味しく提供する「もったいないランチ」の開発に至りました。

■ メニュー詳細 メニュー名:
もったいないランチ 価格:1,200円(税込) 内容:日替わりメイン料理、規格外野菜のサラダ、スープ、ライス 提供期間:2024年4月1日~当面の間 提供時間:11:30~14:00

■ 今後の展望
今後は、提携農家を増やし、より多くの規格外野菜を救える体制を目指します。また、この取り組みに賛同いただける飲食店を募り、地域全体でフードロス削減に取り組むネットワークの構築も検討しています。

【店舗情報】
店舗名:創作レストラン △△ 所在地:〇〇県〇〇市〇〇町1-2-3
アクセス:〇〇駅から徒歩5分
営業時間:ランチ 11:30~14:00/ディナー 18:00~22:00
定休日:毎週火曜日 席数:28席 公式サイト:https://〇〇〇.jp

【本件に関するお問い合わせ先】
創作レストラン △△ 広報担当:山田太郎    電話:00-0000-0000   メール: 〇〇@・・・・.jp


5. プレスリリースをどこに出せばいいか(配信手順)

プレスリリースを書いたら、次は配信です。配信方法は大きく分けて2つあります。

① 配信サービスを使う
② メディアに直接送る

初めての方には、配信サービスの利用をおすすめします。配信サービスを使えば、登録しているメディアに一斉に配信でき、手間がかかりません。

配信サービスの使い方(基本手順)

① 配信サービスに会員登録する
② 管理画面から原稿を入力する
③ 写真を添付する(店内写真、料理写真、代表者写真など)
④ 配信先カテゴリを選ぶ(飲食、地域ニュースなど)
⑤ 配信日時を設定して配信ボタンを押す

代表的な配信サービス

① PR TIMES(ピーアールタイムズ) 国内最大級のプレスリリース配信サービスです。有料ですが、掲載メディア数が多く、信頼性も高いです。

② @Press(アットプレス) こちらも大手の配信サービスです。飲食店向けの配信プランもあります。

③ ValuePress(バリュープレス) 無料プランがあり、初めての方でも試しやすいサービスです。

読者がつまずくポイント
「メディアに直接送らないとダメ?」という質問をよく受けます。答えはノーです。
配信サービスを使えば、サービスに登録しているメディアに自動的に届きます。
もちろん、地元のテレビ局や新聞社に直接メールで送ることも可能ですが、まずは配信サービスから始めるのが効率的です。


6. メディアに拾われやすくするためのコツ

プレスリリースを配信しても、必ず掲載されるわけではありません。メディアに「取り上げたい」と思わせる工夫が必要です。

写真が9割
メディアは「絵になるかどうか」を重視します。暗い店内写真や、美味しそうに見えない料理写真では、どんなに良いネタでも掲載されにくくなります。明るく、清潔感があり、見栄えのする写真を複数枚用意してください。

タイトルに数字を入れる
「4月1日開始」「1日限定20食」「地元農家5軒と提携」など、具体的な数字を入れると目に留まりやすくなります。

社会性ワードを入れる
「フードロス」「地産地消」「サステナブル」「SDGs」「地域活性」など、社会課題と結びつくワードをタイトルや本文に入れると、ニュース価値が高まります。

季節・時事ネタと絡める
「夏バテ対策メニュー」「クリスマス限定」など、季節に合わせた切り口があると、メディアも紹介しやすくなります。時事ネタ(話題のイベント、社会現象など)との関連性があればさらに効果的です。


7. 飲食店が絶対やってはいけないNGプレスリリース

最後に、掲載されないプレスリリースの特徴をまとめます。以下に当てはまっていないか、配信前にチェックしてください。

広告丸出しの文章
「当店自慢の絶品パスタ!」「ぜひお越しください!」のような宣伝文句が入っていると、メディアは掲載しません。プレスリリースはあくまで情報提供であり、広告ではありません。

価格訴求だけ
「〇〇円でこのボリューム!」「激安ランチ始めました!」のような価格訴求だけでは、ニュース価値がありません。なぜその価格で提供できるのか、背景のストーリーが必要です。

画像なし
画像がないプレスリリースは、ほぼ確実にスルーされます。メディアは記事に使える素材を求めています。最低でも3枚以上の写真を添付してください。

情報不足
店舗情報や問い合わせ先が抜けていると、取材したくても連絡できません。営業時間、所在地、電話番号、メールアドレスは必ず記載してください。


まとめ

プレスリリースは、広告費をかけずにメディア露出を狙える強力な手段です。
ただし、単なる宣伝ではなく「ニュース価値のある情報提供」という意識が欠かせません。

今回紹介した内容を実践すれば、個人経営の飲食店でもメディアに取り上げられる可能性は十分にあります。
まずは自店のネタを3つの条件(社会性・話題性・ストーリー性)でチェックし、構成テンプレートに沿って書いてみてください。

次回の実践編では、ネタ発掘ワークシートやタイトル量産法など、さらに具体的なテクニックを紹介します。

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西平タイジ

35年間で上場2社。他に200店舗以上の業績を上げた専門家として仕事しています。 上場2社の多店舗展開に携わり、飲食・美容・整体・小売などが専門。Notionが大好きです。 脳科学×行動科学からのアプローチで、たまに趣味のゴルフを語ります。

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