なぜ今、食品ECにこれほどワクワクするのか?〜個人がグローバルに価値を届ける時代の幕開け〜

飲食店経営

コロナ禍が一気に変えた、食品ECの景色

皆さん、こんにちは。西平タイジです。

今回はEC(Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)というテーマで、全国の美味しいお取り寄せグルメを紹介するサービスを2003年から運営されている私のクライアントさんと対談してきました。

正直、話を聞いていて何度も「マジですか!」と声が出てしまいました。
食品ECの現在と未来、希望しかないですよ。

食品ECのEC化率は、実はまだ2.6%程度と非常に低い水準にあります。
市場規模としてはアパレルの次に来るほどなのに、まだまだデジタル化が進んでいない領域なんですね。
アパレル業界がコロナ禍で大打撃を受けるなか、食品ECはまったく逆の動きをしていた。
広義でも狭義でも、明らかな活況を呈していたのです。

私のクライアントさんのデータを見ると、その凄さが一目瞭然です。
コロナ禍の2022年5月、なんと前年比8.6倍という驚異的な伸びを記録されたとのこと。
8.6倍ですよ。他の食品EC事業者さんも同程度の伸びがあったのでは、とおっしゃっていました。

そして私が特に胸を打たれたのが、飲食店の方々からの声です。
「ECをやっていたおかげで生き延びられた」
「昨年と同じ売上が維持できている」という切実なメッセージが、数多く届いたそうです。
これはもう、データじゃなくてリアルな人間の話ですよね。


「贅沢な非日常」から「美味しい日常」へ

ここで面白いのが、購買層と購買目的の変化です。

かつての食品ECといえば、「こだわりの逸品」「ストーリー性のある商品」「唯一無二の生産者からの直送品」が主役でした。
スイーツや新鮮な海鮮を取り寄せて、ちょっと贅沢な気分を楽しむ。そういうイメージが強かったんですね。

それが今や、餃子やハンバーグといった惣菜・加工食品が爆発的に伸びている。

これはなぜでしょうか?
おそらく在宅勤務で1日3食、家族全員分を作り続ける主婦の方の「切実なニーズ」があったのですね。
話を聞きながら、本当にそうだよなと思いました。
毎日毎日、献立を考えて、買い出しして、作って、片付けて・・。
「一食くらいは楽をしたい。でも美味しいものを出したい」という気持ち、これはもう心の叫びですよね。

そういう時に、名店の冷凍餃子を解凍して焼くだけで食卓に出せる。
ハンバーグをこねる手間なく、焼くだけで外食レベルのものが食べられる。
この体験が、消費者の価値観を根底から変えたのでしょう。

さらに「備蓄ニーズ」も大きく高まっています。
特にコロナ過では感染予防でスーパーへの買い出し頻度を落としたい、台風や自然災害に備えておきたいという意識が、長期保存食品への需要を押し上げました。

そして私のクライアントさんがおっしゃっていた言葉が刺さりましたね。
「Netflixにいちどハマると定着するのと同じ現象が起きている」と。
便利さと美味しさをいちど体験したユーザーは、コロナが収束した後もリピートし続ける。
食品ECの経験者が一気に広がったこの時期は、業界にとって本当に大きな転換点だったんです。


口コミと「消え物ギフト」——食品ECならではの強み

ここでもう一つ、食品ECが持つ構造的な強みについてお話しいただきました。

それは「口コミとの抜群の相性の良さ」です。

メイクやインテリアって、同じものをすすめられても「あの人に似合うものが、自分には似合わない」ということがありますよね。
でも食品は違う。美味しいものは美味しい。個人の好みのブレが少ない分、口コミの信憑性がそのまま購買につながりやすいんです。
しかも単価がある程度リーズナブルだから、SNSでおすすめされた時に「ちょっと試してみようか」とカジュアルに動ける。

そして口コミの次に起きるのが「ギフト消費」へのシフトです。
自分で食べて美味しかったものを、今度は家族や友人へのプレゼントにする。
お中元のアンケートで「ネット通販で送る」と回答した人が65%、「お中元の贈り方が変わった」という人が33%いたそうです。

この流れを後押ししているのが「消え物(カジュアルギフト)」の文化です。
サブスクリプション、シェアエコノミー、ミニマリズムが広がるなかで、モノとして残らない消え物こそが喜ばれる時代になってきた。
ちょっと高級なチョコレートや、こだわりのお酒・・。そういうカジュアルギフトの市場に食品ECがしっかり入り込んできているんですね。本当に納得感がありました。


個人クリエイターの時代——鳥肌が立つほどのパワー

さて、ここからが今回の対談で私が最もワクワクした話です。

私のクライアントさんは「フードマッチング」サービスも展開されています。料理に関する発信をしているインフルエンサーのネットワークで、2万人が参加しているというプラットフォームです。そのうちInstagramで発信している方だけで1万人、月間リーチ数はなんと2.5億

このネットワークに参加しているユーザーへのアンケートでは、「Instagramでフォローしている人のおすすめを見て食品を購入したことがある」と答えた人が89%

個人がモノを勧める力、本当にすごいと思いませんか。

私のクライアントさんご自身も、YouTubeで大好きな方が木製の計量スプーン(2個で3,500円)を販売されていたのを見て、即クリックして買ってしまったとおっしゃっていました。ホントにわかります、その感覚。「この人が選んだものなら間違いない」という信頼と共感が、購買のトリガーになるんですよね。

そしてここで、鳥肌が立つようなエピソードを教えていただきました。

これは、その方の顧客ではないそうですが、
コロナ禍に、毎晩インスタライブで料理を発信し続けた料理家さんがいたそうです。
毎晩、数万人が視聴していたそうです。その後、月2回受けられるオンライン料理レッスンサービスを個人でリリースしたところ、数日で5,000人以上が参加

私、これを聞いた時、本当に鳥肌が立ちましたよ。

個人のクリエイターが、ユーザーさんに応援されながら、自分の好きなコンテンツを発信して、ちゃんと生きていける時代が来ている。
もうこれは夢物語じゃないんですね。

さらにすごいのが、そのレッスンがグローバルに広がっているという点です。
以前ならリアルな料理教室は近くにいる人しか参加できなかった。でも今は、海外にいる方も普通に参加している。
バリにいる方が日本料理を教えることもできるし、日本から海外の方に向けて発信することもできる。
言語の壁も自動翻訳でどんどん低くなっている。個人が好きなことで、グローバルに生きていける時代が本当に来ているのです。


企業も「顔」を出す時代へ——食品ECの未来

最後に、企業とクリエイターの関係についても大切な話をいただきました。

毎日PDCAを回してユーザーと向き合い続けている個人クリエイターたちは、「何が求められているか」「どういうコンテンツが刺さるか」を誰よりも知っています。そういう方々を企業がマーケティングパートナーにしていく。食品に限らず、これはこれからの時代に避けて通れない流れだと思います。

そして、私のクライアントさん自身も変化を起こしています。
この8月から、編集長が顔出しでYouTubeチャンネルを始めたそうです。企業が個人クリエイターのように、パーソナリティを出してファンを作っていく。
「顔出しができる企業は、今すぐやった方がいい」と感じましたね。大手になればなるほどコーポレートの壁があってできない。でも、それができる規模の企業ほど、今すぐ動いた方が圧倒的に強いですよね。


食品ECの未来は、明るいと思います。希望しかないと、私は本気でそう感じています。

日夜こだわって美味しいものを作り続けている方々がいる。
発信するツールはどんどん民主化されている。
口コミは国境を超えて広がる。個人が好きなことで世界に価値を届けられる。

そんな時代の幕が、今まさに開いているんです。

あなたも、まず一歩、発信してみませんか?
もしあなたが飲食関係の仕事をしているのなら、食品ECには未来しかないと私は思いますね。

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西平タイジ

35年間で上場2社。他に200店舗以上の業績を上げた専門家として仕事しています。 上場2社の多店舗展開に携わり、飲食・美容・整体・小売などが専門。Notionが大好きです。 脳科学×行動科学からのアプローチで、たまに趣味のゴルフを語ります。

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