飲食店のデジタルマーケティング完全ガイド(後編)

HowTo

この記事は、飲食店のデジタルマーケティング完全ガイド(前編)の続きになります。

6. 広告はどの段階でやるか

なぜ必要なのか

「広告を出せば集客できる」と考えがちですが、SNS・Googleマップ・LINEが整っていない状態で広告を出しても、費用対効果が悪くなります。

広告は、基本的な集客導線が回り始めてから、認知を加速させる手段として使うべきです。

数字で見ると、「基礎が整っていない状態」で広告を出すと、広告費1万円あたりの来店数は平均2〜3人です。しかし、「基礎が整っている状態」では、広告費1万円あたりの来店数は8〜12人になります(私が関わった店のデータ)。

つまり、広告の効果は「基礎が整っているかどうか」で3〜4倍変わります。

何をすればいいのか

広告を検討する前に、次の3つが整っているか確認してください。

① SNSで週3回以上投稿している
② Googleマップで口コミ返信と写真追加を継続している
③ LINEで月2回以上配信している

これらが回っていない状態で広告を出すと、次の問題が起きます。

→ 広告で来店したお客さまがSNSを見たら更新が止まっていて信頼されない
→ Googleマップで検索したら情報が古くて来店をやめる
→ 来店しても再来店の仕組みがないため一度きりで終わる

広告を出すべきタイミングのチェックリスト

□ Instagramのフォロワーが300人以上
□ Googleマップの口コミが20件以上、評価4.0以上
□ LINE登録者が100人以上
□ 再来店率が30%以上

この4つがクリアできていれば、広告を出す準備が整っています。

具体的なやり方

広告を出すなら、次の2つから始めてください。

① Instagram広告(認知拡大)

予算:月3万円〜
目的:フォロワー増加、店の認知拡大
ターゲット:店舗から半径3km圏内、20〜40代、食べ物・外食に興味がある人

Instagram広告の出し方

既存のInstagram投稿を「広告として配信」するだけで出稿できます。

手順

① 反応が良かった投稿を選ぶ(いいね数が多い、保存数が多い投稿)
② 投稿画面の「投稿を宣伝」をタップ
③ 目標を選ぶ:「プロフィールへのアクセス」または「ウェブサイトへのアクセス」
④ ターゲットを設定
→ 地域:店舗から半径3km圏内
→ 年齢:20〜40代
→ 興味:食べ物、外食、料理、レストラン
⑤ 予算と期間を設定:1日1,000円×30日=月3万円
⑥ 広告を配信

Instagram広告の効果測定

広告管理画面で、次の数字を確認してください。

→ インプレッション数(広告が見られた回数)
→ リーチ数(広告を見た人数)
→ プロフィールアクセス数
→ ウェブサイトクリック数
→ フォロワー増加数

そして、「広告費1万円あたり何人フォロワーが増えたか」「広告経由で何人来店したか」を記録します。

実例:津市イタリアンレストランA店のInstagram広告

A店は、月3万円のInstagram広告を3ヶ月実施しました。

→ 広告費:月3万円
→ フォロワー増加:月120人(広告費1万円あたり40人)
→ プロフィールアクセス:月840回
→ 広告経由の来店:月18人(推定)

広告費1万円あたり6人来店したため、費用対効果は良好でした。

② Google広告(検索対策)

予算:月5万円〜
目的:「渋谷 イタリアン」などの検索で上位表示
ターゲット:検索ユーザー

Google広告の種類

① 検索広告:「地域名+ジャンル」で検索されたときに広告として表示
② ディスプレイ広告:Googleの提携サイトにバナー広告を表示
③ マップ広告:Googleマップ上で広告として表示

飲食店に最も効果的なのは「検索広告」です。

Google広告の設定(基本)

① キーワードを設定
例:津市 イタリアン、津市 ランチ、津市 ディナー、津駅 レストラン

② 広告文を作成
例:

見出し1:津駅徒歩3分|本格イタリアン  
見出し2:ランチ1,200円〜|個室あり  
説明文:自家製パスタと薪窯ピザが人気。ランチ・ディナーご予約受付中。

③ 予算を設定:1日1,500円×30日=月4.5万円

④ 効果測定
→ クリック数
→ クリック率
→ 広告経由の来店数(予約時に「どこで店を知りましたか?」と聞く)

Google広告の注意点

Google広告は設定が複雑なため、最初は広告代理店やフリーランスに依頼するのも選択肢です。費用は月3〜5万円程度です。

ただし、「丸投げ」ではなく、「毎月レポートをもらい、効果を確認する」ことが重要です。

実例:名古屋市ラーメン店E店のGoogle広告

E店は、月5万円のGoogle広告を実施しました。

→ 広告費:月5万円
→ クリック数:月320回
→ クリック単価:156円
→ 広告経由の来店:月28人(推定)
→ 広告費1万円あたりの来店数:5.6人

費用対効果は良好で、3ヶ月継続しました。

よくある失敗

失敗① 広告を出しただけで満足し、効果測定をしない

「広告費を月3万円使った」だけで終わり、「何人来店したか」「売上はいくら増えたか」を把握しないケースが多くあります。効果測定をしないと、費用対効果が分かりません。

失敗② 広告予算を最初から大きくしすぎる

最初から月10万円の広告を出して、効果が出る前に資金が尽きるパターンも失敗の典型です。

失敗③ 基礎が整っていない状態で広告を出す

SNSが更新されていない、Googleマップの情報が古い、LINEがない状態で広告を出すと、広告費が無駄になります。

実例として、大阪市の焼肉店I店は、月8万円のGoogle広告を出しましたが、Googleマップの口コミ返信がゼロ、写真も10枚しかなく、評価が3.5でした。広告で検索結果に表示されても、「評価が低いから行くのをやめよう」と判断され、来店につながりませんでした。

改善のコツ

コツ① 広告は「月3万円を3ヶ月試す」といった小さな予算から始める

効果が出たら予算を増やし、出なければ別の施策に切り替えます。

コツ② 広告経由の来店数を必ず記録する

予約時や来店時に「どこで店を知りましたか?」と聞き、記録してください。この数字がないと、広告の効果が分かりません。

コツ③ 「広告費1万円あたり何人来店したか」を計算する

この数字が5人以上なら効果的、3人以下なら改善が必要です。

コツ④ 広告を出す前に、基礎を整える

SNS、Googleマップ、LINEがしっかり運用されている状態を作ってから、広告を出してください。


7. デジタルが回っている店の状態

なぜ必要なのか

デジタルマーケティングは「やったかどうか」ではなく、「集客と再来店の仕組みが回っているか」で判断します。理想的な状態を知ることで、今の店がどこまで到達しているかを確認できます。

何をすればいいのか

デジタルマーケティングが回っている店は、次のような状態になっています。

【認知】SNSから毎月新規客が来る
→ Instagramのフォロワーが月30人以上増える
→ DMや問い合わせが週に数件ある
→ 「Instagram見て来ました」という来店客が月10人以上

【検索】Googleマップで検索上位に表示される
→ 「地域名+ジャンル」で検索したときに、上位3位以内に表示される
→ Googleマップ経由の来店が月20人以上

【口コミ】口コミが毎月増えている
→ 月に5件以上の新しい口コミがある
→ 評価が4.0以上
→ 口コミ返信率100%

【再来店】LINE登録者が増え続けている
→ 来店客の30%以上がLINE登録
→ 配信開封率が50%以上
→ LINE経由の再来店が月15人以上

【リピート】再来店率が高い
→ 初回来店から3ヶ月以内に30%以上が再来店
→ 常連客(年間6回以上来店)が全体の20%以上

具体的なやり方

次のチェックリストで、現在の店の状態を確認してください。

【SNS】チェックリスト

□ 週3回以上投稿している
□ フォロワーが月20人以上増えている
□ DMや問い合わせが週に数件ある
□ プロフィール欄に店名・場所・営業時間・予約リンクがある
□ ハッシュタグを毎回10個以上付けている
□ 投稿の50%以上が料理写真

【Googleマップ】チェックリスト

□ ビジネスプロフィールが最新情報に更新されている
□ 写真が50枚以上登録されている
□ 口コミに100%返信している
□ 月に5件以上の新しい口コミがある
□ 評価が4.0以上
□ 投稿機能を週1回使っている
□ 「地域名+ジャンル」で検索して上位10位以内に表示される

【LINE公式】チェックリスト

□ 来店客の30%以上が登録している
□ 月に2〜4回配信している
□ 配信開封率が50%以上
□ クーポン利用率が20%以上
□ ブロック率が10%以下
□ LINE経由の再来店が月10人以上

【再来店】チェックリスト

□ 初回来店から3ヶ月以内に30%以上が再来店
□ LINE経由での再来店が月に10件以上
□ 常連客(年間6回以上来店)が全体の20%以上
□ リピート客の売上が全体の50%以上

数字で見る「デジタルが回っている店」の例

津市イタリアンレストランA店の6ヶ月後の状態:

→ Instagramフォロワー:620人(開始時300人)
→ Googleマップ口コミ:38件、評価4.3
→ LINE登録者:320人
→ 月間来店客数:380人(開始時200人)
→ 再来店率:47%(開始時28%)
→ Instagram経由の来店:月18人
→ Googleマップ経由の来店:月27人
→ LINE経由の再来店:月42人

この数字を達成するまでに6ヶ月かかりましたが、使った費用は広告費月3万円のみ。あとはすべて無料のツールです。

よくある失敗

失敗① 「とりあえずやっている」状態で、数字を見ていない

フォロワー数、口コミ数、LINE登録者数、再来店率といった数字を記録しないと、改善のしようがありません。

失敗② すべてを完璧にしようとして、どれも中途半端になる

SNSもGoogleマップもLINEも広告も、すべてを同時に始めようとすると、どれも続きません。1つずつ確実に積み上げることが重要です。

失敗③ 短期間で結果を求めすぎる

デジタルマーケティングは、効果が出るまでに3〜6ヶ月かかります。1ヶ月で効果が出ないからといって、すぐにやめてしまうと、積み上げたものが無駄になります。

改善のコツ

コツ① 月に1回、次の数字を記録する

→ Instagramフォロワー数
→ Googleマップ口コミ数
→ LINE登録者数
→ 新規来店数
→ 再来店数

この数字をExcelやGoogleスプレッドシートに記録し、グラフ化すると、改善の進捗が目に見えて分かります。

コツ② 「今月はInstagram投稿を増やす」といった1つの改善に集中する

すべてを同時に改善しようとせず、1ヶ月に1つの改善に集中してください。

コツ③ 完璧を目指さず、「先月より少しでも良くなっているか」という視点で続ける

完璧な投稿、完璧な口コミ返信、完璧なLINE配信を目指すと疲れます。「先月より1件でも口コミが増えた」「先月よりフォロワーが10人増えた」といった小さな改善を積み重ねることが重要です。


まとめ

デジタルマーケティングは、難しい技術ではありません。SNS、Googleマップ、LINEを使って、「店を知ってもらい→来店してもらい→再来店してもらう」という導線を作るだけです。

最初から完璧を目指さず、次の順番で1つずつ進めてください。

【1〜2ヶ月目】SNSとGoogleマップを整備する
→ Instagramを週3回投稿
→ Googleマップに写真を追加し、口コミに返信

【3〜4ヶ月目】LINE公式で再来店の仕組みを作る
→ レジでLINE登録を促す
→ 月2〜4回配信する

【5〜6ヶ月目】全体を最適化し、必要なら広告を追加する
→ SNS・Googleマップ・LINEの数字を見ながら改善
→ 効果が出ていれば広告で認知を加速

この記事で紹介した手順をそのまま実行すれば、6ヶ月後には「デジタルが回っている店」になっているはずです。

そして、最も重要なのは「続けること」です。1ヶ月で効果が出なくても、3ヶ月続ければ必ず変化が見えてきます。小さな改善を積み重ね、6ヶ月後には来店客数が1.5倍〜2倍になっている状態を目指してください。

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西平タイジ

35年間で上場2社。他に200店舗以上の業績を上げた専門家として仕事しています。 上場2社の多店舗展開に携わり、飲食・美容・整体・小売などが専門。Notionが大好きです。 脳科学×行動科学からのアプローチで、たまに趣味のゴルフを語ります。

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